書簡・編

おたくもすなる日記といふものを、我もしてみむとて、するなり。

043: 2021年4月4日_on eST札幌

拝啓

 札幌公演帰りの日曜夜は花散らしの雨。「お花見大好き」と書かれた北斗さんが間に合うだろうかと案じておりましたが、今年の桜のしぶといこと。時世を鑑みて、持ち味の儚さをかなぐり捨てて意地で咲いているようにすら思いますが、北斗さんも満開を楽しめたようでよかったです。

 

本当なら新潟にいたのだ*1、などと思わずにすむぬようひたすら確定申告業務をしていた3月21日。札幌公演にご一緒しませんか、との一報。急遽振替休をもらって金曜まで馬車馬のように働き、27日昼、とにかく真駒内に到着。14か月ぶりのライブと遠征に、持ち物に漏れがないか等々前夜まで準備に追われた上緊張で眠れず。3時間睡眠で出発したためか、その場に居られさえすれば嬉しかった久々の”逢瀬”が望外のアリーナ前方であったからか、開演前に双眼鏡を幾度も床に落としたり、落ち着け自分状態(笑) そんなあたふたした札幌行ではありましたが、27、28日の両昼公演、ほんっとうに思い切って行ってよかったです。

外周花道の下の黒幕をくぐってアリーナに入り、on eSTと映しだされたスクリーンを目の前にしても、すぐにその世界に”戻れる”のか半信半疑で。でも幕が開けば、6人の存在と音楽とパフォーマンスとお喋りと、そんな好きな事だけに没頭する贅沢を享受できる結界のような空間と時間が現実にあって、この14か月、どれだけ自分が"ここ"に身を置きたかったかが改めて実感されて。声を出せないとか、フェイスシールドが、などそんなことなど全く些末な事で*2。朝6時に空港でおにぎり1つ食べたきりなのに17時過ぎまで空腹感すらなく(笑)。公演開催にこぎつけて下さった皆さんとスタッフの方々、関係各位に心からありがたく思いました。

 

13か月ぶりの有観客ライブ。久々のファンを前に照れてしまうのか、クールにやりきるのか、興味津々。初日を目撃したかったですが、入られた方によれば26日も平常運転だったとのこと。変わらぬ「形状とか機構とか土地柄の違いをきちんと乗り切ってばちっと」演じるライブ職人ぶりだったようで嬉しい限り。

でも、実は”相変わらず”でなかった点もあり。久しぶりに観たSixTONESは、その瞬間の目の前のパフォーマンスだけで魅了する十分な説得力がありました。いわば「現時点の等身大の全肯定」のような自信と自由さと幸福感。以前SixTONESはその物語性も魅力で武器になると書きましたが、既に”背負った来歴や影があってこそ際立つ光”ではなく。これまでステージから放ってくれていた”命削ったキラキラ”は、我が身を削らずとも余裕綽々で自身が放つ光に変わり、クールさやスタイリッシュさの背後の脆さや傷を垣間見せることもなく。配信では気付きませんでしたが、いつの間にそこまでパワーアップされたのでしょう(笑) 

 

幕開けの”Mad Love”で久しぶりに観たSixTONESの”布”使い。「ただのシルエット」なのにわくわくしてしまって記憶がないのです(笑) でも、ひょっとして、続く”Dance All Night”で姿こそ現わせどロボットダンス+サングラスで曲終わりまで表情を見せなかったのは1年ぶりにファンに会う照れ隠しですか?ふふふ…

今回の私のメインイベントの1つ(全曲ですが)ティーザーから数えれば待つこと9か月。とうとう、とうとう、生の”NAVIGATOR”を観た、聴いた、踊った!! どれほど、右腕を後ろに繰り出す振りをしたかったことか。本当なら周りが許せばがっと脚開いて腰落として踊りたかったですが(いや、しませんが)、これで成仏できます。

そして、”S.I.X”で「飛び跳ねろ jump」できたこと(配信での大我君の絶妙のタイミングがで!)、”Special Order”のLa la la la la la laで手をびらびらさせ、”Hit them up”し、”NEW ERA”で”Hey!”できたこと、そんなことがどれだけ心わきたたせたか!(いい大人がねぇ..)


北斗さん、とうとう「いらっしゃいませ~」を継承されたのですね(長野以降もされていましたっけ..?)私は二宮氏の発するそれを『「ストレス貯めるなら金貯めろ」が家訓の下町の町工場という現業の家に育ち、確定申告用の領収書整理が大好き』な人がアイドル産業に”従事”しているという背景ごとうけとめてきたのですが、さて、北斗さんのそれは、どういう解釈で聞こうかな(笑)


そして北斗さんの「世界一緩やかな略奪愛」という絶妙なキラーフレーズのお陰で聴こえ方が全く違ってしまった”Call me”。それまで「爽やか洋楽風味」があまりひっかからない曲だったのが、この言葉で俄然大好きになって(笑) 聴くたび含み笑いしてしまうのですが、今だ”曲のずるさ*3”はわかっていません...

”ってあなた”は配信映像には映らなかった、幅の異なるほの白い光が降ってくるのがMVの雨を思わせて印象的でした。生で歌うのは大変そうな曲ですが、聴けて嬉しかったです。アリーナ上手にいた日は同じ上手の北斗さんしか視野にいれられず、後方から観た28日の方がスクリーンとお二人を一視野に収められてよかったかもしれません。双眼鏡が必要な、さらに離れた距離から観ると、今度はスクリーンと北斗さん、大我君、いずれを視野に収めるか、の贅沢な三択に悩むことになるのかもしれません。

”EXTRA VIP”も27日は上手のジェシー君、28日は下手の樹君をそれぞれ注視していましたが、こちらは映像をそれぞれの真上に映して下さっていたのでお二人同時に把握しやすくて嬉しかったです。(ってあなたは映像で二人が並ぶのが面白いので真中に映さざるを得ないですものね)センターに移動しながらかっこよく踊るのさすがだなぁ、とか、ペンライトが表打ちと裏で打つ人といて、SixTONES、そこで迷う曲多いのよね、と観察して面白がっていた曲。

 

配信で気付かなかったシリーズ、その3。”So Addicted”の櫓=「飛び道具がなんでも出てくる壁」だったのですね(?)。なんと汎用性の高い装置(笑) メインステージを見ながら「何らかの道具か機構に座るか寝そべるかで点在していることの多いグループだな~。それもくつろいでいるのではなく厳ついか物憂げか険しいか」と懐かしく思いおこし。

懐かしい、といえばMCの、この実家の茶の間のようなホーム感(笑) ”トップアイドル”のお喋りにそんな形容をしてはいけないとわかっていつつ、MCからのライアー×ライアー予告のふりの茶番感といい、暗闇でごそごそあの大好きなマイクスタンドが設置される感じといい、ああ、現場にいるって実感できるこの嬉しさ。

”僕が僕じゃないみたいだ”は、後半の加速していく疾走感が、映画の大団円の高揚感との相乗効果で気持ちが盛り上がります。映画館でエンドロールに乗せてかかるのも素敵ですが、やはり皆さんが同じ空間でその場の感情も乗せて歌うのを聴けたのは嬉しかったです。

そこからのトークで北斗さんが「激しい曲ではペンライトこんな風に振っちゃって」的な説明で思い切り殴りつけるようなペンライト使いの真似をされ、私非常に恥ずかしくなりました(笑) はい、ああいう暴力的な振り方、してますね..(私だけじゃないと思うけれど)

とにかく、とにかく楽しい”Coffee & Cream”。まさに今年のカレンダーのキャッチフレーズ『かっこよくて、おしゃれでHAPPY』。こういう曲調とパフォーマンス、SixTONESは本当に似合いますね。

そして”Lemonade”に続き、”Strawberry Breakfast”が流れた時の嬉しさ!よくぞお手振り曲にしてくださったと初めて思った曲。いつものようにコーラス隊の気分になってしまっていると周囲のご迷惑になってしまいそうで、お手振り曲なら客席の皆様、めいめいのメンバーの方を見ているので、自由にのりのりでいられるのですよ(笑) 

配信で流れた映像、好きだったのだけれどな~と思いながらも、配信と異なるものを用意してきてくれたのが嬉しかった映像。

そして、”Bella”!NEW ERAのリリックビデオが西語含みで北米進出を見据えているならラテンは王道と思いますし、私もラテン音楽大好きですが、北斗さんのセルフライナーノーツ*4には「異国情緒、ってより正に異国の曲で、今、SixTONESがこの曲を歌う理由はなんだろと思いつつ、それがSixTONESの選択なら、そうなのね、と聴いている曲(笑)」と応じてしまった。それが今回、ダンスパフォーマンスを見て、数倍は好きな曲になりました。先輩曲を演じていた時はパフォーマンスの新奇性が大きな魅力の一つだったSixTONESが、デビュー後の曲は楽曲と歌唱で世界観が語られていてパフォーマンスで添加される情報の比率が少なめになっていたと思うのですが、この曲はパフォーマンスで修飾されることで大納得。この後のツアーでまた観て再確認したいパフォーマンス。

”Lifetime”は生で聴いて改めて曲の力を実感しました。出光のCMでボスポラス海峡アヤソフィアを背景に流れた時にもじんわり感動しましたが、自前の演出は強い。配信で5回も観たのに、それでもなお冒頭の白い光の中で静かに始まり、静かに沈んで行く終わり方に原始宗教のような、理屈を超えて頭を垂れてしまうような訴えかけがあって。曲の力という点では、アンコ―ルで”うやむや”を歌いながら登場された時も「これ、本当に歌っているんだ、すごいな~」の一言でした。もう、この曲、例えば”この星のHIKARI”とは別の意味の小細工なしすっぴん勝負、とにかく歌う、のですね(笑) あ、でもこの曲自体がトリッキーなのか..。
そういえば、配信ライブのメドレーの青い衣装のサスペンダーが素敵と書いたら(か、どうかは知りませんが)カスタマーズヴォイスにご対応(?)ありがとうございます。アンコールもサスペンダーで登場して下さって。肩幅がありつつ体幹がすっきりしている人のサスペンダー、体型に映えて素敵なのですよね。

 

今回のライブ、”NEW WORLD”や”"Laugh" In the LIFE”のような定番曲で、周囲で手指のカウントしたり振りが入ったり*5している人は半分程度。この1年で初めて足を運ぶ人が増えたのだろうな、あるいは北海道は初だからかな、と実感したのですが、一方で隣の席の気合入った北斗さんファンのお嬢さん*6始めとする周りの北海道のJK達、全曲振りも完璧で、どれだけSixTONESの来道を待ちわびていたことでしょうね(泣) 本当に北海道でライブができてよかったですね。

 

そんな帰りの機内誌で、尾崎世界観さんと吉田修一さんのエッセイを読みました。世界観さんは、開演前の客席から漏れ伝わるざわめきやステージに出た瞬間の感覚など演じ手の心象風景とライブに伴う旅の日々を描写していて、それらがままならぬコロナ禍の心境を淡々と綴っておられ。吉田さんは長らくANA機内誌に連載してきたエッセイの最終回で、「全力で『好き』を書いてきた」連載を通じて「自分が好きなものを『好きだ!』と大声で叫ぶ。こんな単純なことが、実はいかに難しく、そしていかに素敵なことであるか」を学んだと書いていらして。

「全力で『好き』を成就させに行った」忙しなくも幸せな旅の終わりにその2編を読んで、ステージに立つ方達の心境と楽しかった週末とに思いをいたしてなんだか泣けてきてしまい。隣席では羽田乗り継ぎで次の仕事先へ急ぐ作業着の方がPCで書類作成に勤しみ、逆隣の方は仕事帰りかスーツで熟睡していて、その間で、申し訳ないことに心地よい遊び疲れとグラス1杯のビールにぼーっとしながら涙こぼす一人(笑)

この心境はコロナ禍がなくて存分にライブ三昧できていたら辿り着かなかったものかもしれないですし、それだけの対象があるありがたさと幸せを忘れないように胸に留めて置こうと思いました。北斗さんとSixTONES、そのくらい感慨を抱かせるお仕事をされているのですよ。今後のツアーが恙なく行われて、まだ会えていない人達も無事に参加できることを祈っています。

 

北斗さんも朝ドラの撮影に入られたようで、新しい冒険の始まりに私までわくわくしています。ブログからも楽しんでおられる様子が伝わってきます*7、春宵一刻値千金の美しい時季、どうかお仕事と日々の生活が心柔らかく満喫できるものでありますように。私達がその支えであれますように。

まだ気候の定まらぬ時節柄、スタッフ、メンバーの皆様も北斗さんも、どうかお身体おいといくださいませ。いつでも、どんな北斗さんも応援しています。

                                 かしこ

 2021年4月4日                                        

*1:公演延期

*2:Smile upシールドは前評判を覆し、使いやすかったです。前髪つぶさず、顔隠さず、双眼鏡も使えます

*3:2022年6月注:北斗學園2021年3月10日

*4:2022年6月注:北斗學園2021年3月8日

*5:NEW WORLDの北斗さん、腕を下げてから上げ始める時の溜め方が『振りを忘れて瞬間、周囲をみて真似している人』みたいなごくごくごくほんの少しのタイミングが、ちょっとツボでした(ごめんなさい、意地悪ね)

*6:鳥羽マーク(あれって鳥の羽根?)の うちわを持っていたから、鳥羽担かも(笑)

*7: 畳(笑)。今の北斗さんのブログにはなんとなく「1日の最後におしゃべりしたいのは君なんだ」風味を感じて、嬉しいです。(元台詞のニュアンスとシチュエーションとはちょっと違うけれど)
因みに毎日更新してくれる高地君には高地君の健康チェック兼SixTONESの安否情報源、ジェシー君には善良な純粋なる精神が伝わってくるパワースポットみたいな役割、慎太郎君にはおおらかな無垢な精神、大我君はブログまでエンターテインメント、樹君は「たまにしか来ない悪い男だけれど、来てくれた時はとんでもなく優しい..(笑)