書簡・編

おたくもすなる日記といふものを、我もしてみむとて、するなり。

065_2023年11月13日_慣声の法則 円盤、アトリエの前で第38回

拝啓
立冬とはいえ穏やかな気候のこの頃、北斗さんには大きなお仕事の後の束の間の休息を楽しまれていることとブログから勝手に拝察し嬉しく思っております。

さて、「慣声の法則」Blu-ray拝見いたしました。生きていれば心が曇る冬の日もあって、そんな時には暖かな陽光の下に続く「夏への扉*1を探してしまう。この3枚の円盤は「あの4か月」「あの4月」を鮮やかに蘇らせ、生きる力をくれる。そしてまたあんな「夏の日」が必ずやってきてくれるという希望を心に灯してくれる、今の私にとっての「夏への扉」になりました。毎度思うことですが、素敵な作品をありがとうございます。感想ともいえない雑感ながら、映像で思い出された、あるいは映像のお陰で改めて気付いた素敵な光景や言葉を綴ってみました。

DOCUMENT

ほんの些細なことで愛すべき人間性に触れられる瞬間が好きだ。例えば、こちらは道交法に則り停止しただけなのに会釈しながら小走りに横断歩道を渡っていく人。SixTONESのツアードキュメントは、インタビューとリハーサル風景、公演を裏から覗いたり俯瞰したりの映像を淡々と繋いでいっただけのものでありながら、いつもそんなよき人間性や温かい関係性が自ずと伝わってくるから好きだ。
・ドーム公演発表にあたり「納得してもらえる」事が大事と粛々と述べる樹君。
・訥々と語る北斗さんの、剥きたてのゆで卵のような肌。カメラの向こうにいる”人”と対峙するような目線と喋り
・ご飯を食べる髙地君がもらす「うまい」の一言に相好を崩すジェシー
・忘れもしない仙台公演MC後の空耳アワー。仙台は客席とステージも近かったけれど、そんな一事で心の距離もより近くなった気がした。
・ツアーをめぐる映像の区切りを示唆する、衣装に貼られたツアーロゴステッカー
・リハーサル「Again」の大我君のアレンジ、ストレッチをする北斗さん
・アリーナツアーパート最後のBGMが「オンガク」なこと
・ドームのリハ―サル「Amazing!!!!!!」で、北斗さん以外全員キャップなの、なぜ(笑)
・急に動いたジープに驚く属性の人々と、落ち月はらった大我君の対比
・「はい 素晴らしいです」って仰る舞台監督さん
・コメントにいちいち「ありがたいことに」とつける樹君「ドームは嬉しいけどドームだから嬉しいわけじゃない」の正しさ
・単独ドーム公演に至る経過をファンに感じてもらうのに、直接的な過去映像ではなく、クレーンの高さで8.8の気球を仄めかす粋
・意外やソフトランディングだった「Amazing!!!!!!」の北斗さんのジャンプ。ドキュメントで角度違えて拝めて嬉しい。
・初単独ドーム公演の大阪はやはり、雨。開場待ちの風景に、台風だろうが雪が降ろうが、SixTONESの公演初日絡みの降水にはお約束感に笑ってしまう。その開場規模でも意外な程違いを感じなくて、逆に拍子抜けすることも、お約束(笑)
・東京ドームのドキュメントのBGMが「Takes Two」だったこと。緊張の合間の緩和的な
・開演前、誰もいないドームでレーザーが動いていたり、ライトがくるっと回転する、そんな光景にわくわくする
・大我君の「2度3度があるなら(そのたび)意表をつかなきゃいけない」宣言の頼もしさ。楽屋の壁の初日のスポーツ紙記事の初々しさ
・当然なのだけれど改めて、リハーサルにYOSHIKIさんいらしたのですね。常田さんとYOSHIKIさんのリハーサルまで見せて頂ける豪華さ。お2人を見る”少年達”の目のキラキラ
・最後の「せーの、ズドン」の瞬間、客席にマイクを向ける北斗さん
・ドーム公演を終えた後のこの上なく幸せそうな顔、顔、顔

ライブ映像:ドーム公演編

・冒頭の魚眼レンズで映しだしたドームの天井の映像のワクワク感が秀逸
・ちょっとライトがついただけで湧きかえる場内は、まさにあの日の空気感
・開演前からクレーンのスピーカーはビリビリしていたのだ
・バックステージの”食虫植物”ライト、”機械”なのに有機的で素敵。蠢く様に「CHANGE THE ERA」の創世記のような世界観を思い出す。あの時は数条のライトだけだったなあ。
・「Amazing!!!!!!」の衣装の背中の長いショール的なのが隣合わせの髙地君と北斗さんでお揃い。珍しい
・「NAVIGATOR」の”Hey!”で一斉にペンライト上げる客席を魚眼レンズで映しだしたのが好き(どうも魚眼が好きらしい?自分で)
・「NAVIGATOR」でメインからセンターステージへ歩を進める姿が、初アリーナ単独ライブの時と同様、物理的に大きい人達だからというのではなく、本当に大きく見える。花道から吹きあがる風の中「NAVIGATOR」と「シアター」の劇的さ!先頭の髙地君と慎太郎君の並びが何だか嬉しかったり
・「シアター」間奏で絞り出すようなジェシー君のフェイクと冒頭のアドリブの迫力。
・かなり早い時間帯に達したバックステージで歌うのが「Waves Crash」という卓見
・「Overture」から「Boom-Pow-Wow!」までシングルは1曲だけ。未収録のJr曲とカップリングで押し通すセットリストに、自分達の楽曲と客席への信頼、いか程か、と改めて驚嘆する。
・「IN THE STORM」の煽りの凄まじさ。ここで”食虫植物”ライトが稼働していたのは気付かなかった。ゆっくりと翻るマントの裾が一瞬スローに映るのが素敵。歌いながら途切れることなくクレーンに上がっているのが手練れ感。あんなにクレーンぐらっぐら動かしている人が高所恐怖症とは思えない(笑) 最後のフェイク、北斗さんでした…?
・「Boom-Pow-Wow!」でようやく最近の曲になり。それでも会場内の温度感が変わらないのがさすが*2。北斗さんの「そりゃぁ」って煽りと、髙地君が煽りつつも振り付けを忠実に遂行しているのが好き。
・クレーン上で北斗さんが何か憑りつかれたように踊っている姿。そしていつの間にかクレーンを降りて意外な速歩で花道を進んでいたことを映像で知り、感心。たかが数分ぶりなのにメインステで6人揃うと、なんでそんなに嬉しそうなの?
・北斗さんの「挨拶」時、きちんと「近い」「遠い」客席を映しわけている律儀さ(笑)。
・「Risky」で肘掛についた手の骨が日頃診療で使っているような物であったと映像で”見えて”しまい(笑) 頭蓋骨も前額断半切なのね。
・髙地君のダメージデニムの究め感。北斗さんのターンの軽やかさ
・「Dance All Night」で北斗さんが5人を「吊り上げる」ところ、改めてドームの構図(360°見えるセンターステージ)最高。
・「OPA!」の歌割に準じた几帳面なカメラ割り、トロッコの上ですら見せ場のポーズを全て映している忠実さ。メインステージに上がる瞬間のタッチも含め、2人の音の拾い方の「リズムの申し子」感
・「ふたり」は大我くんのロングトーンは勿論、本当に6人とも歌唱が安定していてハーモニーが美しい。高地くんの声の伸びと声量の豊かさに進歩と努力を感じる。
・「オンガク」20代後半男子達が大はしゃぎの姿のよきこと。60になってもそうやってはしゃいでいてね。皆でばーんって撃ち合う姿の多幸感、撃たれてのけぞる慎太郎君いと愛し。髙地君のダンスが伸び伸びしていて好き。北斗さんの跳ね方。この曲の振り付けが大好き。歌声も最高…ここまで盛り上がると、ここでMCかと思いきや、まだ前半続く
・「人人人」場を重ねることに成熟していくパフォーマンス。Jeepの流れさえなかったらセンターステージで客席の只中で演じて欲しかったなあ。この時の北斗さんが6人の中で一番薄着だったのが結構ツボ。
・挨拶から「Risky」のイントロまでたったの2分10秒。「人人人」のアウトロを利用してのスキャットしながらのジープへの移動も円滑。SixTONESのライブの素晴らしさは「空白の時間の少なさ、曲間や装置、ステージ間の以降のシームレスさ」だと本当に感心する。6人全員がステージから下がっていたのは3時間中、4分20秒に過ぎない。客席が置いてきぼりになる時間帯を作らぬ献身に驚嘆
・「DRIVE」最強に武骨で愛らしい車を俯瞰、正面、悪路乗り越える様、見たかったアングルで余さず映してくれてありがとう。炸裂するジェシーのアドリブの気持ち良さ、Greatでガッツポーズする北斗さん。楽しいドライブから「ABARERO」までほんの30秒の素晴らしさ
・「ABARERO」イントロから笑顔の慎太郎君、さすがnatural born dancer。振付の中では北斗さんの伸びあがりや後屈が好き。例えば「Hysteria」のような、楽曲選択の姿勢や当人達の意識が”攻めている”曲も好きだけれど、楽曲もダンスも攻めている「ABARERO」の在り方も好きだ。
・「マスカラ」ギターの弦音に合わせたライト。リリース時より何倍もよいパフォーマンス。上空を滑るカメラすら優雅
・話題性ということをおいても常田さんとのコラボはツアーのハイライト。YOSHIKIさんの激しいながらも包み込むような演奏とは違う、常田さんの挑発的なパフォーマンスでSixTONESの歌唱力や即興力が改めて明らかになったようで嬉しい。
・「愛という名のベール」最初の一番離れた立ち位置でモニターに相手を映してくれて、広い会場ではありがたい。「真っ赤な嘘」で陰と陽と、相容れない互いが引き寄せられ反発したように、今回は黒と白が引き付けあい離れた様。現地で見ていてもドラマチックだったけれど、映像で見るとより鮮明で。ジェシー君の翻したコートの裾がスローになったのがさらに劇的。
・「STAMP IT」「甘いSTAMP IT」でアドリブが入ったのがよかった。髙地君の緑のロングコートが格別。
・「Cat Call」柔軟性の両巨頭、北斗さんとジェシー君が両端にいるのね。このダンスの柔らかさが好き。実はSixTONES、柔軟で妖艶。
・「Mr. ZUDON」実は間奏が結構重厚な音で改めて驚く
・「ラ・ラ・ラ・ラブストーリー」結構な段差を軽やかに駆け上がっていたのですね。他の曲では慎重に一歩一歩降りていますものね
・「映像」1分30秒。何故グッズのように”声”を意図し”口”でなく”眼”だったのだろうかと考える
・「S.I.X」ジェシー君の煽りが天才的。北斗君のはジャニーズの伝統的煽りで、それもよき。
・「Bella」薄いコクーンの彩りの美しさ。花道の妖艶北斗さんも、声の重なりの美しさも、映像でしっかり堪能
・「Special Order」ドームでも変わらぬ「どこまで低くなれるか選手権」(はい、北斗さん常勝)に、実はSixTONES、ダンスに手をぬかないのよと世界中に叫びたい
・「WHIP THAT」北斗さんのアイドルジャンプが2回も映っているの(しかもスロー)(いや、かっこいいよ)、高地の上着の担ぎ方、慎太郎君の回転しながらのジャンプのスロー
・「Outrageous」重量感がザッツSixTONES! 次々ヒット打つの大好き、特に北斗さんの本当に感電したかのようなそれが。北斗さんの大ジャンプ、ここでも笑顔満開の慎太郎君も
・これだけ大騒ぎしておいて「Again」ですんっと歌い出すまでたったの14秒。すごい…そして敢えて語らす終わるところが好きなのよ。
・EC「PARTY PEOPLE」えーい、びぃーい、すぃーい、でぃーって遊んでいたのでしたね。懐かしい大騒ぎ。
・「Good Luck!」収録回のラップは北斗さんが指名されるきまりでもあるのかしら(笑) 歌モニターの歌詞読んでます?
・「この星のHIKARI」ドームだとさすがにシンガロングの音。割れますね
・「彗星の空」もう、ステージ上の皆さんの表情、これに尽きます
・セカンドEC「JAPONICA STYLE」改めて、こんなキラー曲をアンコールのお手振りに使う日がきたことに、潤沢で質の高い楽曲数を思ってしみじみ。1回きりの演奏なのに映像まで用意されているとは贅沢
・客電落ちまでがライブです、という終わり方も好き。

ライブ映像:アリーナ公演編

・センターステージの上の円盤状の装置。登場場所を匂わすようなライトに惑わされていた初日以外はしっかり見ることもなかったから、アップでゆっくり見せて下さってありがたい。ギターやトランペット等の集まった、まさに「音楽の塊」。SixTONESの展示企画があったなら、ぜひ衣装と並び展示して欲しいものの一つ。BGMがチューニングの音なのも素敵。
・モニターに映しだされたツアータイトルがさりげなく映るのが素敵。最も話題になったフェSではなくてゆっくりと上空に昇るライトが本命の演出だったのかしら。フェSはOvertureでライトに拍動させられるのが面白かった
・何回見ても「Voice」はオープニング曲として満点!
・「NAVIGATOR」の”Hey!”で思い切り斜めになる躯幹のバランスの妙をスローにしてくれてありがたい。現地だと一緒に踊っていてきちんとみえてない説
・ドーム公演を見た後でも、花道を進む6人の姿の縮尺感が一緒で感覚がおかしくなる。でもパフォーマンスを観ていると、もうアリーナ狭い感、圧倒的にドームがあうスケール感に既になっている…箱の大きさではないとはいえ
・「Boom-Pow-Wow!」体を反転させているから結局「右から+右から」になっているのでは?北斗さん(笑)
・「Rinky」”やんちゃ”と形容していた記事があったけれど、どちらかというと”退廃”とか”世に飽いた”感、つまり中2感ではないかしら。ジェシー君のフェイク、本当にかっこいいですね。
・「OPA!」こんな極彩色の映像背負っていましたっけ…お2人のアイコンタクトが楽しいのですよね。
・「オンガク」この振付、6人の雰囲気、見守る客席のとろけそうな多幸感、全て好き
・「人人人」マイクを手にとるまでそんな表情をされていたのだと初めて知りました。何しろ自分が楽しくなっちゃっていたから。現場ではよく見えなかった寝そべった辺りを見られたのも嬉しい。そして、今回の円盤の白眉!起き上がってからの数十秒の俯瞰での映像処理。これ大好きで何回見直したことか!
・「僕が僕じゃないみたいだ」他のSixTONESの曲もそうですが、この曲の使い勝手のよさといったら
・「“Laugh” In the LIFE」ジェシー君の超高速ファンサに笑う、幸せな時間。そんなご多忙の中、あんなにアレンジしたりロングトーン使ったり、ハモリがちゃんと美しかったり、本当にあなた達は素晴しい。でもはしゃいでいると気付けない。今さらながら、ありがとう。
・「MC」一度聞いたMCなのに、家で映像見てまた笑ってしまうとは(笑) 真顔で蛙hateを語っていた北斗さんはよく覚えているけれど。画面が時々陽炎みたいに揺らぐのは気のせいなのか、映像効果なのか、あるいはMCの熱気?(笑) それにしても、皆さん揃って身目麗しいこと
・「Chillin‘ with you」この曲の好きなところ、皆さんの音の切り方、一人身体揺らす北斗さん
・「愛という名のベール」北斗さんの脚の踏ん張りにどれだけ精魂こめて歌い上げているか、改めて知る。羽根と布と翻す裾と、私の好きな物尽くしの演出とダンスを何回も見られる幸せ。
・「STAMP IT」前の曲の布をそのままスクリーンみたいに照明を投影して始まっていたのですね。演出に目がいきがちな曲と、ダンスに目を奪われてしまう曲の違い。作詞にも関わられたこともあるかもしれませんが、この曲は特に表情管理が的確。SixTONESのパフォーマンスは皆さんの演技力もありましょうが、演劇的な要素が強いですよね。好き。フォトブックの樹君の見たことない表情(アリーナ版p.21)はこの曲でも見られて。最後に一瞬ストップモーションになったように見えるのは、演出か、照明の明滅のため?そういえば北斗さん、”僕の虜”を”理性は死んだ”と歌ってらして、ああ生もの感(笑)
・「CAT Cal」北斗さんの”London, Paris, cat walking to Tokio”の低音が大好きなのですよね。そして猫目の仮面をかけると引き立つ北斗さんの口の表情の秀逸さ!Oの字にしても口角あげるにしても、表情豊か。そして後ずさる時の後屈度合いも好き。
・「ラ・ラ・ラ・ラブストーリー」広がる一面の風船の映像の幸せ感。甘甘な時間
・「マスカラ」紗幕ごしのパフォーマンスの、少し遠い音が熱にうかされた真夏の夜の夢うつつのようで、ラテンアレンジにぴったりの雰囲気を醸し出していて私は大好き
・「Imitation Rain」年齢と経験に応じて深まるパフォーマンス。今年のImitation Rainも映像に残して下さってありがとう。
・「Imitation Rain」終わりの静寂から一気にぶちあげメドレーに入る流れ。ザッツSixTONES!記憶していたより意外や映像で大人しく見える「RAMーPAMーPAM」はドームのパフォーマンスがあまりにがつがつしていたからか(笑)それにしても全員声が強いことを本当にありがたく感じる「WHIP THAT」花道からスモーク吹きだし、ここぞ、のジャンプや慎太郎君のロングコートの裾が翻りがかっこいい(私、本当にこの演出が好きなのでしょうね)
・「Outrageous」どすんどすんっという重量感、ヒット打つSixTONESは大好物。ロボットダンスと同じく、無機的な動きに表情をもたせるのが本当に上手。メインステージのSixTONESの背後から客席を見渡した一瞬の映像が非常に好きな眺め。SixTONESにも客席にも、誰にも見えない光景。2公演の最後にこのカロリー消費高き曲をもってきてくれたSixTONESのマゾヒスティックさ
・「この星のHIKARI」でシンガロングするところ以外は客席を‘風景‘としてしか映さないところがよいところ

 

どんなにすごい機構を使おうと特効が派手であろうとモニターを大きくしようと、そこに人がいてパフォーマンスをしている事こそが重要で*3、感動はそこにある。立つ場所が変わってもSixTONESがその一事に変わらず誠実で献身的であるということを改めて実感したライブでした。そして映像作品も同じく。映像技術ありきのこれみよがしさがなく、数万人分の3時間を6人で埋め尽くして下さったという事実に忠実でいて、演者、演出、その時間空間の魅力に映像ならではの修飾を施して数倍増させてくれる。そんな、SixTONESソニーさんの創り出した映像作品が大好きです。

  立冬といいながら季節にそぐわぬ暖かさをよいことに秋の便箋に清書し始めた11月8日からほんの2,3日進めずにいたら、急転直下の冬とともにお待ちかね新アルバムのお知らせ、頂きました*4。同日の北斗學園にあった「楽曲の選球眼や価値観」。比較的早期から(私の知る2017年頃には既に)SixTONESのそれが融通無碍で着想の体現にも先輩の換骨奪胎にも秀でていたから、それを享受してこちらの溢れる驚きや共感を送りつけていただけだけれど(笑)、もしそれを”育てた”と言って頂けているのであれば冥利に尽きるというものです。teamが大きくなるにつれ全てを容れるのは難しくなりましょうし、こちらの好みや期待と同じだけではつまらないから、適宜取捨選択してぜひぜひご自分達の好きを第一に追求していって頂きたい、それで驚かせ続けて欲しい、というのがこちらの、一ファンとしての変わらぬ気持ちです。

 その点では「アトリエの前で」第38回はすごく好きな回でした。発売日の朝、まずは電子版で拝見するのですがiPad miniの小さめ画面で見た最初の頁のおどろおどろしさに身震い(笑) 雑誌が届いてから通常サイズで見れば通常営業の松村北斗的違和感演出なのだけれど、この一瞬の狼狽が嬉しかった。内容は一見微笑ましい「演技者松村北斗の萌芽」の話。でも冒頭と末尾の数行(北斗さんの随筆の主題や気分は大体ここに示されていると思っています)に、ここ数回は抑え目だった緊張感や毒が今回はあるようにとれて、そのほんの些細なちくちくした感じを愛好する私には興味深く面白く。北斗さんが今だに虚像と実像との「使い分け」を潔しとできず、「虚像を演じる自分という虚像」をさらに重ねて生み出していることを危うくもとれるでしょうけれど、そんな自分への客観視*5によるバランスと受容、数年前とは異なるゆとりとが文章内に記されているようで、私はその一連の思索を北斗さんの精神の健全さだと考えています。「今の松村北斗」を魅力的に見せ続けるという自意識の酷使は大変な負荷でしょうし、私にとってはその努力こみ、虚像と実像の折り合いに思いをいたしてしまう存在こそが愛すべき松村北斗という人なのです。

ライブや劇場で新年早々にお会いできるのがここ数年の恒例になっていたから来る2024年はちょっと寂しい気もしつつ、皆さんが10代の頃からできなかったご家族やご友人との年末年始をゆっくり楽しめるのでは、などと思うことにしています。SixTONESのメンバーはあまり語らないけれど、世間の風当たりがこれ程強かった事もないでしょうし、私達の知らないところでも支障が生じていることもあるのでしょう。そんな時に精神的に成熟して健全であること、現実に対処する強さを皆さんが示して下さることに(表向きであっても、それができるのは凄いことです)敬服しています。

 思えば北斗さんのお仕事はもちろん、真夏の*6初週末から東京千穐楽と大阪大千穐楽前の公演まで追いかけ堪能できた「ビートルジュース」の興奮、ご本人は緊張したと仰いますが落ち着いた立派なチャンプに慎太郎君の積み重ねの力を感じた「DREAM BOYS」、静謐な異世界を楽しんだ「星降る夜に出掛けよう」、そして昨日は「シェルブールの雨傘」を拝見。ジャニーズ舞台の伝統的ダンスも大好きですが、大勢のダンサーさんを従え自在に暴れ踊るジェシー君、髙地君のジャズ系、大我君のコンテンポラリー系と、SixTONESには珍しいジャンルのダンスを拝見できたのも嬉しかったです。

 ラジオでもテレビでもスクリーンでも楽しませて頂き、ライブ映像やアルバム発売もあって、お陰様でそんな楽しみの点と点を繋ぐようにして人生を送らせて頂いています。ありがとう。自分のできることは限られていますし、ちょっと前には自分のよって立つところに疑いをもってしまったこともありますが、今回は勇気を奮ってもう一度、書いてみてもよいかしら。いつでも、どんな北斗さんも応援しています。     かしこ

*1:R・A・ハインライン夏への扉」だから日本の蒸し暑い酷暑ではなく、北米西海岸の爽やかな夏です(笑) 『ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。』

*2:例えばある時期からの嵐のライブは「Love so Sweet」からのファンが多くて、流れるとぱーっと場内の雰囲気が変わった。それはよいことでもあり、でも古い曲まで掘り返すようなファンが多くはなかったことを表していて。CD以外に旧曲を聴く手段がなかったとはいえ、ちょっと悲しい気もしていたものでした

*3: この手紙、初稿を書いたのは発売翌週水曜(8日)で、10日発売の+actの『中丸の部屋』でジェシー君が全く同じことを言ってらして。パクリじゃないでーす。樹君の回といい、中丸君の連載はちょうどよい距離感かつ憧れのグループの先輩であり、聞き手としても概念や思考の言語化にも優れた方ならではの素敵な内容でいつも楽しみです

*4:だーかーら、早く書けと。今回は円盤見ながらGoogle documenに書き始めて翌週水曜には感想は書き上げていたのです。それが7日昼からの史上最強の腹痛が遷延し…仕事も運動もしてはいたものの、手紙のような頭脳と感情と身体を駆使する作業(笑)は進め難くて結局数日そのままになり

*5:SixTONESの皆さんはその客観視によるバランス感覚に非常に長けた人達だと思います

*6:自分のとれた3公演は全て休演になってしまい落ちこんでいましたが、ありがたいことに同行で入らせて頂くことができたり、知り合いの伝手で誘って頂いたり、怪しい転売に手を出す事もなく、逆に初週末から大阪楽まで公演全期間を見られて嬉しかったです。