書簡・編

おたくもすなる日記といふものを、我もしてみむとて、するなり。

068_2024年5月21日_VVS

拝啓

 風薫る…と書き始めて思うこの暑さ。日中は汗ばむ日もありますが、SixTONESさん、スタッフの皆様にはお元気でお過ごしでしょうか。どきどきわくわく迎えたVVS初日は遠くなりにけり。6人揃ったSixTONESさんとは10か月ぶりの逢瀬。入場と同時に対面した屹立する360°ステージの威容に皆さんのどや顔を想像した初日(笑)。待望の生バンド、センターステージという新しい冒険、挑戦に楽しそうな様を目のあたりにして「最高だぜ!」と快哉を叫んだ京セラドーム初日。SixTONESさん、バンドの皆さん、スタッフさんには当然でしょうけれど、こちらもマスク装着下に呼吸困難気味になりながら『やりきった感』で満たされた。なのに全体的に曖昧な「よかった」感こそあれ、なぜか具体的な感想を言語化できなかった2月。ライブはツアー通して育つからまた新たな印象を受けたり気づくこともあったりするだろうと思いつつ、ありがたいことに東京まで参加してなお、やはり言葉が見つからない。4月末にふと思い至ったのが、徹頭徹尾「参加」することに精一杯であったからではないか疑惑(笑)

既に大手メディアからファンに至るまで感想も出尽しているでしょうという諦念混じりに、それでもかつてGWに「桜の頃を忘れたか」とおねだりされた(と勝手に思っている)ブログの主に「素敵なものを沢山見せて頂いたからにはお礼を」との思いと謎の義務感だけはあり、好天のGWに部屋に籠り皆さんご活躍の録画を整理しながら感想を書きつくり、ごぶごぶフェスティバル前には仕上げたかったけれど今に至った次第。

 まずは北斗さんのパフォーマンス。北斗學園*1や会見でも語られていましたが、ドームサイズでもしっかり見せようという意志が体現されているような動き。例えば「TOP SECRET」で腕くるりと大きく回すところ、「Alright」でのこれでもかっと言わんばかりの高いハイキック。「Need You」での素早く大きく伸び上がり屈む動作はきっちりと高低めりはりがあって、結構負荷は大きいし動きを小さくしても恐らく問題ないでしょうに、これまでもいつだってそうであったように手を抜かぬ、そして公演を重ねても毎回同じ大きさと質での全力のパフォーマンス。「TOP SECRET」でのフォーメーションチェンジは回る円形のステージで何を目印に動いていらしたのかと感嘆する大変さであったでしょうけれど、見事な大回りの走り込み*2を見ては心中ガッツポーズしていたものでした。「JAPONICA STYLE」での花道移動も、あの踊りにくそうな床材の上で、ただ移動するだけではなく全身を駆使し(”酔いどれジャポニカ”、”やさぐれジャポ”とメモにありました(笑))足は細かいステップを踏み、凄まじい運動量をさらっとこなしているように見せて。何度も踊り尽くしてきた「JAPONICA STYLE」のような曲でも気を緩めずきっちりと、そして鋭さやスピード感が増していたように思えて。「House of Cards」では丁寧に繊細な表現をしていらしたし、ドーム仕様の大きな動きでありながら、キレと表現の細やかさや表情の豊かさも兼ね備えて演じられていて、変わらぬ意思が感じられて嬉しかったです。ああ、いつまでも踊り続けていて欲しい。

もちろん歌の技量も着実に向上、安定して表現の幅も広げてこられたわけですが、今回改めて驚嘆したのは「Something from Nothing」。大音量の主旋律の下で鳴り続く呻くような低音を、北斗さんが身体を折り曲げまさに絞り出していると気づいた時の驚愕。自らを楽器と化したかのような献身に感嘆。そしてこれはセンターステージならではなのか+音響技術のお蔭なのか、他の曲でも北斗さんの低音がいつもよりしっかり届いてきたようで嬉しかったです。

 今回はSixTONESさん待望の360°ステージ。これまでも会場の大小問わぬ空間の使い方の巧みさ、複数のステージとその上下・左右の空間を隈なく効果的に使うことに感心させられてきました。天井からの吊り下げ式の機構を使えないドームでも、今回はセンターステージ上に塔を組んで上空を利用し、放射状の花道とセンターステージだけのセットは移動に要する時間と体力を楽曲パフォーマンスに全振りした印象で、会場の特性を活かすため知恵を絞ったライブ職人的意識の頼もしきこと。一方、ステージが1か所になることでセットの多様性は限られ、演者の動きも中央からの拡散⇔集中と中央での回転に限定される。そのためか1ツアーに何曲かはある、その楽曲の世界を色濃く表現した演出に夢中になって見入ってしまうような時間*3は少なくて、一曲毎に明瞭な感情を喚起されるというより、一連の楽曲群の”雰囲気”を味わう印象。それは客席も巻きこむぶちあげ系の曲の比率がFeel da CITY以降徐々に増えているように思われることや、世界観に没頭するにはパフォーマンスやセットが見えづらいステージであったことも影響しているかもしれない。その点で音楽性重視のライブとしては非常に優れていると思うのだけれど、ジャニーズ的な総合エンターテイメントとしては、いつものSixTONESのライブと比較すれば展開の多彩さや物語性には乏しいきらいはあったかもしれない。それはVVSの特徴であって、優劣ではないのだけれど。

 私は地上でもてっぺんの席でも参加しましたが*4総じて印象としては「どこからも近い」という目標は達成していたと思います。むしろ「どこにいても近くてどこからも遠い」不思議な感覚。アリーナ席やスタンド下段では当然皆さんは距離的に近いのです*58階ビスタ席やバルコニー席のように眼の前に遮るもののない席では全てを眼下に見下ろし、演出もよく見えて、踊りまくれ*6ら、置いてきぼり感はないわけです。

 色々書いてしまいましたが、SixTONESさん乾坤一擲の360°ステージ、収容人数1割増という副次的(でも大事な)利点もあったと伺いますし、やってみたかったことを叶えたことに、常に新奇性を求めたいタイプの私は全肯定です。まだまだ、もっともっと、攻め続けて欲しいのよ。

アンセムRollin'~Outrageous~ABARERO

どこから現れるかのドキドキもありつつ、過去の「Voice」や「Lost City」でメインの大がかりな機構からの荘厳さすら漂わせる登場、「Hysteria」に包まれながらの天空からの降臨、「Amazing!!!!!!」でKEEP OUTを蹴破って登場、マンションのソファに座してセリ出してくる、そんな様々なオープニングの中では最も芝居っ気のないシンプルで人間くさい登場かもしれない。ロックレーン*7宙に昇り歌う姿は「近くに行く」というアイドル的大義よりはロックスター的カリスマ性が感じられ、上空で共に拳突き上げ上の方まで客席を巻きこむことに成功した「アンセム」での最高の幕開け。そこから緊張感を保ったまま「Rollin’~Outrageous~ABARERO」までの爆速の展開の労力に感心し、改めてライブ職人っぷりに舌を巻きました。ここでがっちり人心を掌握したからアンコールに至るまで終始、地上からてっぺんまで全周見渡しても、天井席で周囲を見ても、信じられないくらい手を緩める人がいなかった*8。その”つかみ”は技術もさることながら、SixTONESさんが気を抜くことなく全力でパフォーマンスに打ち込んでいる姿勢の反映だと思います。

 「Rollin'」は初披露時の静かな独白から始まり荒ぶる叫びを経てクールにステージから消えていった緩急の妙も、デビューツアーで晴れやかに派手な機構で登場した時もそれぞれ印象に残っているけれど、最新曲3曲の間に歌われても劣らぬ熱量で客席を鼓舞する力に満ちていて。降下するロックレーンとメンバーの影が水柱にスクリーンの如く映りこんで、なんと劇的だったことか。「Outrageous」と「ABARERO」ではせっかくの渾身のパフォーマンスが、メインステージが暗めな上に柱もあってどの位置からも若干見づらかったことは否めませんが、序盤から十分に騒ぎ、挨拶でさらに盛り上がり、ステージがバンドだけとなっても客席の興奮は続いていたから、そういう意味ではパフォーマンスをじっくり見る楽しみはVVS序盤においては優先順位が低かっただけということになるのかしらと思ったり。

Hysteria~君がいない

ステージ上空から降りてきたSF映画を思わせる光の環。何が始まるのか期待高まる中、現れるソフ*9もたれかかったり、気だるげに脚を投げ出したりするSixTONESさん達、流れる「Hysteria」。従来この曲の私の推しポイントは、青い炎の如く表面は静謐でいて実は温度が高い、奥底の情熱を溢れる寸前の表面張力で留めている抑制の美。そんな曲で事ある毎に客席から情欲滾らせ抑えきれぬという風の「う”ぎゃぁあ”ー」的叫び声があけすけに飛ぶようになるとはちょっと苦笑い(笑) 。もちろんセクシュアルな要素のある曲だし、そこを下品に見せないのがSixTONESのパフォーマンスの好きなところでもあるので、単純に曲に対する自分のイメージとの齟齬というだけかもしれない。後日情報番組で流れたメンバーの絡みの映像に歓喜するポストを多数見たからそれがオタクの需要というもので、これまでの環境では客席からあからさまな声をあげにくかったのか、客層が変わったのか。その需要に応え、眼鏡をかけてモニターに姿を映すだけ、それらしき動作をして見せるだけで会場を沸かせるのもアイドルの重要な仕事ではある。しかし、シンメ萌え、メンバー同士の絡みやエロティシズムで需要を満たすことは鉄板であると同時に麻薬のようなもので、それを”供給”すればうけてしまうお約束に走るのは諸刃の剣ではないかとも思うのです*10SixTONESに限っては「これやっとけばうけるだろう」という安易に走ったわけではないだろうし、ジェシー君が「DRAMA」のパフォーマンスについて「情感込めて演じている」と語られていたようにあくまで楽曲の世界観を表現するために必要な表現という線を遵守して下さるのであろうと...なーんてことライブ会場で考えているの自分だけだよなー、考えるな楽しめーと思いながら(笑)

そして今、「Hysteria -Rock Rearrange-」のCD音源を聴いてみればイントロもオリジナル版の浮遊感ある電子音ではなく決然としたギターのカッティング。徹頭徹尾、演奏が強い。前者が20代前半の男子の熱に浮かされた一夜の叶わぬ夢想であるとしたら、後者は経験も実績も重ねてきた男性がいつでも奪える力を以て略奪愛を成就させんとしているかのような現実的な強さを思わせる。となると強い男性のアピールにうたれ絶叫した女子達の反応が正しかったのかしら(笑) 。では、今や客席にかなりの割合を占める男性達*11どう反応したのであったのか、あるいは女子達の本能剥き出しの呻きに何を思ったのだろうとひとしきり(笑)。

男性の共感を得そうだと思っていた「君がいない」。実は自分の中では「うら寂しいさえない男子の煩悶」的イメージがあったので、照明は濃ピンクで「マスカラ」の系譜的お洒落男子感の演出に、確かにステージでわざわざパッとしない感じは出さないわよねと心の中でひとり納得(笑)。ソファを使う演出が好きなので嬉しかったし*12中央カメラから映し出されるアップの映像は360°ステージならではの面白い演出で、曲の雰囲気にあっていてすごく楽しいし会場も沸いて、こちらは”需要に応えた”好例ですね。6人とも集まって中央カメラを向きがちだったから客席はモニター頼り。しかし柱の真正面の席からは、頼みの綱のセンター上部のモニターも真正面は継ぎ目。その左右のモニターは斜めで映像が歪んで見えてしまう。天井壁面のモニターで補完するにも、福岡では潤沢にあった気がするそれも名古屋では2つのみで同じ外野側にあったから見られる人は限られてしまうの、ちょっと惜しかった感。

Alright、House of Cards

3人組の組分けが、大きく情熱的に踊る華やかダンス組とクールにさりげなく踊る堅実ダンス組だった印象。あの網目の踊りにくそうな床材の花道で細かくステップを踏み踊りつつ移動するという労力のいることをされていながらそれを感じさせず、映像やセットに頼らず何もない花道で、あるいは鈍く輝くデコラティブな形状のマイクスタンドを使うだけで曲の雰囲気が表現されていて素敵。行間に情感を滲ませるような繊細な演出が実はSixTONESさん、お得意ですものね。だから自分は即物的な仕草にちょっとひいてしまうのかもしれない(いや、しつこいですよね(笑))

花道で二手に180°別れる構成は、演じ手のいる花道に対して長軸方向に60°ずつ程度の範囲からであれば正面から3人は見えるが、逆側に3人は全く見えない。花道に直行する領域の席にいれば両方見えるが両者とも遠く、視線をいずれかに振らねばならず、結局どちらかは諦めることになる。なかなか悩ましい選択を迫られるのでありました。ま、それも新しい挑戦にはつきもので、守りに入っていつも同じになるなんてつまらないですものね。少なくとも現地にいられた自分の贅沢な悩みではありました。

希望の唄

これまでのユニット曲は”楽曲を2人組で表現する”ものであったのが、”楽曲自体がユニットの2人の関係性と空気感を表現する”ものであったように思えた今回のユニット曲群。15通り、どの2人の組合わせをとっても其々の物語と今の在り方は素敵だけれど、アルバム毎に「このユニットこそ正解」と思わせられるのはなぜなのでしょうね(笑) 

「希望の唄」はステージで跳ね飛び歌うお二人の爽やかさと熱が素敵でした。ど真ん中に直球放り込んでくるSixTONESさんもよいですよね。せっかくのVVSマフラータオルをぶん回したかったけれど、ごぶごぶフェスで叶ったから、いいか

"Laugh" in the LIFE~フィギュア~PARTY PEOPLES.I.X

どんなに尖ったライブでも、やはり定番トロッコのお時間も嬉しいもの。SixTONESさんは所謂ファンサタイム、お手振り曲でも楽曲をおざなりにせずきちんと歌って下さる(いや、ふざけ倒して歌どうしたっ?て時はあるけど)から離れたところにいても勝手に盛り上がれる、その信頼感。お馴染みの4曲という鉄板の布陣、こちらも跳び、踊り、Clapし、楽しませて頂きました。因みに大阪初日に8階ビスタ席にいた夫、地上のトロッコから懸命に上の方を見てくれている北斗さんにいたく感心したそうです。ちゃんと届いてますよ、北斗さんの気持ち。

DRAMA

みんな大好き「DRAMA」もパフォーマンスを楽しみにしていた曲でした。ダンス、特に北斗さんの荒ぶる動きが好きで、モニターには下半身アップより引きでダンスの全体像を映してくれよと思っていた私は少数派だったかな(笑)。モニターに抜く範囲は演者あるいはスタッフさんの一存なのか、両者の打ち合わせであるのかは分かりませんが。

一番お気に入りだったのが”笑い過ぎる”北斗さん(歌割上は「HAHA」や「Uh」はジェシー君ですよね?あれは元の歌詞にはない笑いであったのか、詞を見ながら記憶と相談しています)。不敵で挙動不審な松村北斗が好きな私は毎度心待ちにしていたパート。映像が手元に届く日がくるなら、あのアップは収められているとよいなぁ。

JAPONICA STYLE~

以前も書いたように私がSixTONESのパフォーマンスやライブを愛してやまないのは、音楽性やダンスの技巧や動きの美しさはもちろんのこと、物語や世界観の表現に秀でているからなのです。数多のダンスグループがそうであるような「踊る事が目的」なのではなく、「踊る事は楽曲表現の手段」という感じ。そしてライブでは空間の使い方の秀逸さと客席を引き込む手腕。全体的には物語性や世界観的要素が薄めのように感じられたVVSですが、その中で壮大で鮮烈な世界観の醍醐味を味わえたのが「JAPONICA STYLE」でした。さすがライブ巧者のSixTONESさんが前半最後の盛り上りにもってきただけある。アリーナから見上げても、8階や5階から見下ろしても、桜吹雪と水しぶきとが空気を霞ませるまでに全天・宙を埋め尽くし散乱している圧倒的な世界観は360°ステージならではの劇的体験でした。この曲でもセンターから花道に出ると客席からはほぼお1人しか視野には収められないわけですが、却ってその人に集中して見る事ができて「JAPONICA STYLE」の世界に没入できるというだけで十分であったように思えました。

MC、Call me、日替わり曲、スーパーボーイ

そんな夢かと見まがう圧巻の光景から、これもSixTONESさんのやり口、すこんと世界は変わってまあ緩めのMCに入り。粋な新曲発表、懐かしきメンバー不在MCの再演、思わぬ散財に涙目の北斗さん(あれはプロレスではなくガチだったのかしら)、髙地君の誕生祝い、CM用音声の録音、ハマダ歌謡祭公開収録…ただ喋っているだけでも面白いのに様々な趣向をありがとう。あなた達が6人で楽しそうな様を見る事が嬉しいファンが多いのだから存分に真ん中向いて6人で顔見合わせながら喋っていてくれてよいのですよ。それにしてもその場のノリで「歌っちゃおっか」の流れになった時、慌ててスタンバイして下さろうとするバンドの方達、本当にありがたい。

MC終わりに樹君が「この後いっぱい暴れてもらうから今は座っていて」とおっしゃいましたが、この後また運動量が増えるのでチルタイムはMC後でなくてもよいのに(お互いのためにね)とは思いましたが、緩くも濃厚なMCの後に「Call Me」は一服の清涼剤でありました。日替りの「僕が僕じゃないみたいだ」はストリングスが、「Imitation Rain」はピアノが誠に美しくて、「マスカラ」はさらに成熟した感があり。生バンドのよさを実感しました。

その流れではまあ確かにそうなるね、それしかないね、と思わせられてしまったのが「スーパーボーイ」。THE VIBESでも一推しの曲、かつ人を食ったMVが大好きなのでどんなパフォーマンスになるのか楽しみにしていたら、ステージに腰かけ脚ぶらぶらさせながら語らい、ただぐるぐる歩くという(笑)。エンドステージ型であったなら土手、河川敷、教室、ファミレス…そんなセットも採用されたかもしれない…?いや、多分例えば旧Sexy Zoneはそこを具象化する人達で、SixTONESはしないかな。想像膨らませる余白感、ただの砂場を秘密基地にできちゃう感じ。ナニモノでもなかった頃の小さい箱でのパフォーマンスも思い起こされるそれをドームでもやってしまう潔さ。でもそれを納得させてしまうのが、流石。でも、天井に飛んでいくレーザーのスーパーボーイはドームならではでしたよね。

Need you~TOP SECRET~WHY NOT 

近未来感ある白い照明に照らされた円形のステージならではの演出がスタイリッシュな「Need you」。よくぞこの曲を掘り返してくださった。明滅する様にストロボ写真を思い起こしたりして。「TOPSECRET」は回る360°ステージ上で目まぐるしくフォーメーションチェンジしながら"じたばた走り回っている”感じ、よろめくような動きまじりのダンスがまさにこの曲の”OMG感”にあっているようで面白かった。そして都会的で煌びやかな「WHY NOT」。どの曲も演出は楽しめましたが、願わくばダンスもしっかり観たかった。双眼鏡を駆使すれば多少見やすいとはいえレーザーや照明の演出の全体像が掴めない。特に「WHY NOT」はせっかく遮る物のない花道に出てきて踊っておられるのに闇に沈んでしまって演じ手が見えなかった。レーザーの演出を優先すれば見づらさこみでの狙い通りなのでしょうね。思えばこれまでも、直下からの照明とスモーク焚きすぎで見えづらかった「WATER DANCE」のソロダンスパート、照明を落とし過ぎて見えづらい曲のあったCHANGE THE ERA、照明が明る過ぎてメインステージが白飛びしてスタンドからパフォーマンスが見えない曲があったTrack ONE -IMPACT-、そしてコロナ禍にようやく再開した現場なのに丸1曲シルエットだったon eSTの「MAD LOVE」という姿隠す系演出の系譜はあったのでした。確信犯か(笑) でも、私はあなた達の動きも見たいのですよね、と一応書いてみる。

Blue Days

ピンクと緑の分裂補色の鮮やかさ・元気さ、そして白と青のクールなエモさに続いては、赤と黄の暖色ペア。ドームを埋め尽くし波立つ黄と赤の灯の和やかさ、温かさ。ソファはわかるけれどロッキングチェアは何故?と思ったけれど、そんな暖炉の前的な温もり感の表現なのかしら。ランタンフェスティバルを思わせるメインステージの照明の宙を彩る橙色も何とも美しい。最後髙地君が差し出したマイクでジェシー君が歌いあげた後の一瞬の無音に毎度フライング拍手が出たのは思い入れこみの前のめりさに免じて許して(笑) 。

レーザー

「Blue Days」の温かな空気の余韻が会場を包む中、滲むような橙の灯りから場内が暗転すると鮮烈に宙を裂くレーザーが縦横に走り始め一気に雰囲気が変わる。ドームならではの広い天球に星座の如く散りばめられた光、飛び交う流れ星は壮大で、ビスタ席や5階席から見るそれと地上から見るのと高さや角度によっても印象が異なる。主役不在の時間を補うどころかそれだけで独立した作品として見たい位の美しさに口を開けてみとれながら改めて、構成の切り替えのメリハリとシームレスさを両立させ、不在時間は最小限。ライブ中に”とりあえず”の時間帯を一切作らないSixTONESさんのライブ作りに対する真摯さをしみじみ実感したものでした。ただ、MCを最小限の自己紹介のみにして目いっぱい曲を披露したごぶごぶフェスの後にして思えば、それはとにかく自分達の楽曲を披露することへの貪欲さと楽曲への愛、自己実現欲の表れでもあったのかと。

DON-DON-DON~RAM-PAM-PAM~Bang Bang Bangin'

さて、前ツアーのJEEPに続く第2弾はにぎにぎしく飾られたデコトラ!「千客万来」「商売繁盛」のキッチュなお洒落さ。箱乗りするSixTONESさん含めてなんというラスボス感!!!!!! 

通常トロッコやフロートが会場を周回するのは「なるべく近くへ」「交流」「サービス」とのアイドルの大義が主旨と理解していますが、デコトラの上で自分達が盛り上がりきっちゃっているSixTONESさんに、地上からてっぺんまで遍くお祭り状態の客席。「呼応」はしていても「交流」しているわけではない*13。「誰一人置いていかない」というより「ハーメルンの笛吹き男」的な扇動・誘惑。デコトラを降りてステージに歩を進めるとさらにドームはぶち上がり、まさに「踊る阿呆に 見る阿呆 同じアホなら踊らにゃ損、損」的な不思議な時間帯(笑) 鉄骨の柱から横に噴き出す花火*14と爆発音がとにかく大好きで、へらへらと笑い、マスク下で呼吸困難になりながら、掲げる腕をこれ以上はないと思うまで振り、跳び、とにかく楽しかった時間。ああ幸せ。

ところでJEEPは「近くに行くよ」の意思も表しつつ、煙吐き障害物を乗り越えて自走する愛すべき武骨さがSixTONESの在り方を体現したかのようにも思えたものでした。ところが今回のデコトラは自ら運転するのでなかったなら*15駆動装置のないフロートでもよくないだろうか?とひとしきり(笑) 360°ステージであるが故に生まれた外野の奥のスタンド席。崖のような切り立つフェンスで直下の視界を遮られる外野スタンドからはトラックといえど自動車の車高では近くに来て下さっても見えないのです。当然、トロッコも直下に近づいてきて下さった時には見えない。エンドステージ型だと外野スタンドは見切れ席ではあってもメインステージは近く、舞台袖に来て下さったりフロートが出入りする時には近さが嬉しいのですが。360°ステージという新たな試みに敬意を表しつつ、よりよいものになって欲しいので、プロには想定内の事象と思いつつも老婆心からの客席からのご報告まで。今後また外野スタンド奥が客席になる構成を選択される場合は、少しでも高さをかせげそうなフロートを選んで下さると嬉しいかも。あ、慎太郎君操縦のクレーンで吊るされながら周回して下さってもよいのでは(重機大好き。でもバランスとれなくて危ないですね)

Something from Nothing~Telephone~BE CRAZY~Seize The Day~こっから

今回に限らずSixTONESさんは後半にわざわざ苦行を自らに課す修行僧かという時間帯があって(笑) 「Something from Nothing」でデスヴォイスを絞り出し続けたその後に「Telephone」を踊り、「BE CRAZY」での渾身のヘドバンからの「 Seize The Day」を歌いあげ、「こっから」でぶち上がるとは、その多様さと体力と、喉の酷使とコントロールの難しそうなこと。

東京初日に一緒に入ったジャの道の師匠が「モニター故障してた時があったよね?」と後で聞いてきた「Something from Nothing」。モニターが点く後半も映る演者の姿に文字を被せていたから、恐らく敢えて消して楽曲に集中して欲しい、聴かせたい、という演出意図だと思うのよ、と返事しておきましたが、正解だとしたらモニターに何も映さないという選択の勇気たるや。前述の「Hysteria」とは真逆のそれ。だからこそ、時折走る稲妻の如き光に闇の中から照らし出される姿から伺い知れた、あのデスヴォイスを終始奏でる粉骨砕身の献身に気付いた瞬間は、それこそ雷に撃たれたかのような驚きでした(いや、CDで気付けって話もありますが)

このツアーで最高の、異様なまでの盛り上りだったのが名古屋の2日目(私の体感)で*16極めつけは「Telephone」だったと思うのです。5階の高みから眺めた会場の狂乱の壮観。「Bang Bang Bangin'」の興奮冷めぬままに「Something from Nothing」でさらに盛り上がった月曜夜の客は「万難排してとにかく参加する勢」か「漸く平日でチケットがとれた勢」か。続く客席の異常なハイテンションに反応してさらにボルテージを上げるSixTONES、さらにぶちあがる客席、という幸せな相互作用。負けじとやけくそに近い勢いで踊っていたように見えた「Telephone」はライブの「場の魔法」にかけられ「空気」が最高の味付けをした忘れられない名演だったと思いす。

 特にドーム公演となった昨年から顕著になったように思うのがSixTONESのライブに初参加の方や取材陣による客席の盛り上り方、参加度合いへの称讃。恐らくそれはノンバーバルに醸成される「盛り上げどころ/盛り上がりどころ」の共通理解(これはジャニーズ全般にある)が、"team”を自負するオタク達に自律的に遂行され、周囲に伝播している結果と思われる。今回はSixTONESのライブに慣れていない方達も多くおられたようであったのに、会場のてっぺんにいて周囲を見回しても、上から下まで隈なく、どこを見てもペンライトがもれなく動いていて、その美しい景色がしみじみと嬉しく、SixTONESの勝ちだね、と思った次第。慣声の法則 in DOMEの後、偉そうに『バンドワゴン効果での参入層と、とりあえず見てみたいと受身で楽しませてくれることに期待するだけの”お客様”が一定の割合を占めるようになった時に会場の一体感を保てるか、疎外感ないライブを成立し得るかが勝負だ』等と書いてしまい、現時点では杞憂であったとちょっと恥ずかしくなったりして。

 「JAPONICA STYLE」と並び、360°ステージの威力にひれ伏したのが「Seize The Day」。外連味のないどストレートな内容の曲にして、ロックレーンからセンターに参集し歌い上げるだけのシンプルな構成。なのに後半一気に高まる旋律と歌詞の力に鼓舞され、終盤歌いながら6つの道から歩み寄り円陣を作るメンバーの見合わせる表情にこのライブ最高の高揚感を惹起され、毎回涙が出てきたものです。まさに”I seized those days. You made my life extraordinary.” この曲はペンライトをふり回すのも、踊るのもちょっとそぐわず、身体を揺らす程度で聴きいっていたから歌のメッセージがしっかり伝わってきたのかもしれない。アルバム中、最も好きな曲の一つであったから演出やパフォーマンスへの期待も大きかったけれど「Something from Nothing」で映像が出なかったのと同じく、シンプルな構成のお陰で聴く方も楽曲と歌唱とに集中できたことがよかったのだと思います。オーラスの日の会見で「今回はあまり機構を使わず生身の人間のパフォーマンス、存在感で見せよう」と語られていた意図が如実に表れ、効果的だったのがこの2曲であったように思います。

 そして、とうとうライブで聴けた、大好きどころでは言葉の足りない「こっから」。円陣で向き合った時の6人の筆舌には尽くせぬ表情にはこちらの入り込む余地がないことは明らかなのだけれ*17あなた達とこの曲とを愛しているから、こちらも存分に盛り上がるよ的な、共に作り上げた感。大団円に向けて怒涛のぶち上がりを見せ「こっから」で最高の祝祭空間を共有し、その只中に消えていく構成、本当にお見事。素敵、素敵。

アンコール

あの大阪城ホールのJr.祭りのアンコール飛ばしの経験があるから今だにどんな会場でも真っ先にアンコールの声をあげる私。お疲れのところ早々にアンコールしてすみません。ど定番の「Good Luck」「この星のHIKARI」で気持ち良く踊り歌い、和やかにさようならするのかと思いきや「WHIP THAT」とは!最後に”共に”跳び打ち上げた素晴しいアンコールをありがとう。北斗さんのオーラスでの「俺らが帰らないと次に会う日がやってこない」は至言。「また会いましょう」 ね

グッズ

今回のグッズはこれまでと何となく異なる作風。作成会議の頃には参加は決まっていたのでしょうか。ごぶごぶフェス出演の報にマフラータオルとリストバンド、シックなグッズが多い中でビビッドな緑黒配色であった理由はすぐにわかってにやりとしたものの、ごぶごぶフェスの荷造りをしていて突然腑に落ちたジップバッグの意味!(遅っ…)ツアー中にも遠征の小物や着替え入れ、化粧品の小分け、ご一緒する方達へのご挨拶用のきき湯小袋と双眼鏡クリーナーを包み、と便利に使わせて頂きはしていたものの、そうか野外フェスには必須ですものね。細やかな心遣いに今さら気付いて改めて嬉しくなったり。Tシャツはごぶごぶフェス公式さんのを記念に求めて着て行ったけれど、会場のあちこちで見る緑と黒のタオル、振る腕のリストバンドはちょっと誇らしかった。ヘッドフォン型ペンライトは首にかけて踊れば後ろに落ちそうになるし、振るには飛んでいきそうで怖いし(勢いを考えろって話)、嵩張るし、電池もち今一つだし満員電車でカバンの中で勝手に点灯するし、言いたいことは色々あれど、すっかり愛着(笑) 視認性は抜群だから、これからも複数グループご出演の御社イベント等で愛用させて頂くでしょう。初のご本人達画像がプリントされた(靴*18じゃなくて)Tシャツは素材(乾きやすい)もサイズ感(慣声の法則のTシャツはデザインは大好きなのだけれど、身幅が大き過ぎて踊ると肘が身頃に潜ってしまうのです。それでも愛用していますけれどね)も素敵。そして相変わらず顔だししない作風(笑) やんごとなき人かぃ。とにかく、いつも愛と含みのあるグッズ、感謝、感謝。

 

 思えばデビューツアーからコロナ禍に見舞われたSixTONESさん、何事もなくツアーを完走できるのは当り前ではないと身に染みた数年間。表に出ないお仕事もありましょうから、マネージャーさん達のご苦労はいかばかりか。ましてや追加公演まで検討して(駄々こねて)下さっていたとは。各”ソニーさん”達、ライブ現場関係者各位、バンドメンバーの方々、過密スケジュールの中で健康と美を保って下さったメンバー、皆様ありがとうございました。

オーラス後の取材にあった制作過程の話。ライブ職人的感覚をそれぞれが持った6人の合議の成果が披露されるという平和で合理的な形式は好きだし、Jr.時代からSixTONESのライブ構成の工夫と新奇性を具現化して下さるスタッフさんへの信頼感は絶大だったから、会社の体制や環境が変わっても変わらず「お前ら」と言える関係性でいて下さっているのも本当にありがたい。阿吽の呼吸が馴れ合いではなく、慎重なあなた達が安心して冒険できる支えとなっていて、媚びず、守りに入らず、の志を貫き続けてくださるよう願っています。

はい、疑いなく言いましょう。次なるめっちゃ強いやつ!!  一緒に超無敵になるやつ!! 作ろうぜ*19待ってます。いつでも、どんな北斗さんも応援しているのと同じ位の確信をもって。  かしこ   

*1:2024年4月23日のとうこう

*2:2018年のSummer Paradiseの「Born in the Eearth」~「Power of the Paradise」で縦列最後尾から長い横移動を慌て気味に移動してみえたのが微笑ましかったのですが、今やダイナミックな大回り走り込み。毎度「間に合った〜」と拍手

*3:私見ですが、CHANGE THE ERAなら「Hysteria」「YOU」「T∀BOO」「Body Talk」、Rough ”XXXXXX"では「Time」~「Night Train」、TrackONEーIMPACTーだと「Sun Burns Down」、on eSTの「Mad Love」「Coffee & Cream」、Feel da CITYでは「Lost City」、慣声の方則での「Risky」「VOICE」「人人人」「Cat Call」等

*4:本当にありがたいことに、そして恐縮ながら

*5:ドームではもう叶わないことと思っていたけれど、内野席スタンド下段にいた日は確かに北斗さんがトロッコから見つけてくれたし(と勝手に思い込みました)、アリーナにいた日はうっすらと北斗さんの花道からの”視野に入っていた”と思えました(はい、徐々に望みは低くなっていきます(笑))。承認欲求を満たすためにライブに参加しているわけではないけれど、やはり嬉しいものです。他のアーティストさんには抱かないこの気持ちは大事にしようと思っとります

*6:人生初の着席ブロックですら上半身だけでもと動いていたので、バルコニー席の柔らかい革シートで体幹鍛えられた感じ(笑)

*7:ロックレーンの名称、オーラスの会見でではなくツアー初期に明かして頂いたら話題にしやすいのに。男子の秘密兵器自慢的

*8:どんな人気グループのライブでも自担が出ていないと座ってスマホ見たりお喋りしていたりする人はいるのですよ。その人の自由とは思いながらやはり悲しいというか、残念に思ってしまう

*9:常にセンターステージを見ているからからスタッフさんの搬入が見えてしまうのも、それはそれで楽しい

*10:どんなに良い曲を歌い、攻めた演出をしても、シンメの背中合わせやメンバーのお尻触った時の方が会場が沸くグループに、ファンを育て損なったと思ったことがあり。それはアイドルの一面で否定はしないけれど、少なくともSixTONESが求める世界ではないと思うので

*11:ジェシー君が”点呼”とるまでもなく、例えば東京のアリーナAでは各列1人以上男性がいたから約5%程度?

*12:ジェシー君のソファの背もたれに仁王立ちする体幹力と脚の長さ!見やすくてよかったなあ、あの高さ

*13:あの時間帯もファンサうちわを掲げている方達はいらっしゃるのだろうか。いるなら執念に感心してしまう

*14:ロンドン留学中、新年を迎えたビッグベンから四方八方に横に噴き出す花火を見てイギリス人のアナーキーさ(だって国会議事堂ですよ)に楽しくなっちゃったのを思い出しました。メインステージの柱も花火を噴射するために太くなってしまったのなら止むを得ん、許そう(笑) などと思ったりするくらい

*15:髙地君も運転席でなく上に乗りたい気持ちもわかるからなあ

*16:名古屋に何か特殊な事情があるとは思わないのですが、今年のKingGnuさんの名古屋日曜に参加した時も、常田さんも思わず額から流血する笑ほどの盛り上がりっぷりでした。何故なのかしら

*17:アイドル=偶像として崇め奉るような一方向性ではない「私達が入り込む余地」があるのではないかという思いを抱けることもSixTONESの独自性ではないかと思っている。それは一面真実のようでいて錯覚でもあると思うのだけれど、そこの距離感と線引きがお上手

*18:on eSTのロンTね

*19:北斗學園2024年4月25日のとうこう