書簡・編

おたくもすなる日記といふものを、我もしてみむとて、するなり。

001: 2017年10月29日_於大阪松竹座

はじめてお手紙をさしあげます。20年近くジャニーズ事務所のタレントさん達を応援してきましたが初めてしたためるファンレターで、長くなってしまい恐縮ですがご高覧賜れば嬉しく思います。

最初に北斗さん(if I may)を”認識”したのは2016年のWelcome to Sexy Zoneツアー大阪公演。スタンド 中段で私の隣のお嬢さんが北斗さんの所謂”ファンサ”で「腰砕けになって崩れ落ちる」のを目撃した際でした。

その後も風磨君のソロコンや、少年倶楽部収録などで時々目にしていましたが、完全に北斗さんのファンだと自覚したのは今年の大運動会で、勝手に文科系の印象をもっていたのに「足が速かった」という小学生女子のような理由でした。しかし、その後知れば知る程興味深い方だと思って今に至ります。

もちろん北斗さんのことはそれ以前から存じておりましたが「私立バカレア学園」放映時は留学中で観られず。帰国後リアルタイムで観ていた「TAKE FIVE」の堂城一馬や「ぴんとこな」の澤山梢平は覚えているものの、役柄よりタレントさん自身を前景にとらえてしまいがちな他のジャニーズの方達と異なり、視聴当時は演じ手の印象はなかったのです。最近見直してみて、ドラマでの北斗さんによい意味で「ジャニーズ臭」が薄かったため障壁なく役柄そのものをみていたのだと推測しています。

ちょっと骨太で野性的でありつつ繊細で、年を重ねて三船敏郎さんのような感じになっていかれるのではないかと心楽しく想像したりしています。また演技のお仕事をされるとの報に今度はどのような顔を見せてくださるのか期待しています。

 

私は「美しい動き愛好家」で、内村航平選手や高橋大輔選手など一流アスリートの試合観戦が好きなのですが、ステージ上の北斗さんも、指先まで美しい身のこなし、動きのばね、跳躍の高さなど動く様が非常に素敵です。加えて佇まいも魅力的なのは土台が安定して姿勢がよいためだと思うのですが、静と動併せた美しさの基礎が空手にあるのではと思い、甥達にも空手を習わせようと画策すらしています。

職業柄、スポーツを見る時に怪我の受傷機転を想起してしまいがちなのですが、北斗さんは臍下丹田が充実して腰が据わっているのか、アクロバットにも不安感をあまり覚えません。でも、お怪我をされないように祈っております。

土台といえば内面もしっかりしていらして、たとえば「独りでいること」の楽しさを語ってくださることや、ふとした時にみられる気遣いなどにも感心させられます。

私は大学で学生を教えていたのですが、独りでいたり、人と違ったりすることを学生が忌避することを残念に思っていました。幼少期から徒党を組むことに興味がなく、人との些細な口約束を実現するまで気にしてしまう性質で、最大の理解者である夫(とたけけ似)や友人と過ごす時間、新しい知己を得る機会は貴重ですが、それと同様、私には独りは退屈知らずの心楽しい時間なのです。北斗さんが独りのよさを語ってくれたことを心強く思い、同世代の学生達が独りであることに萎縮せずにいてくれるとよいなと考えています。

気遣いという点では、北斗さんのMCなどでの立ち位置を適切にさりげなくずらす様や、マイクやフリップをさっと受け渡したり、という気付き方が素敵だと思います。ご本人の素養やご両親の躾の賜物と思いますが、ジャニーズ事務所臨機応変力を鍛えるon the job trainigの成果でもありますよね。そういう姿を見るのも現場に足を運ぶ醍醐味です。卒後すぐに実践できる知識、技能、態度が身につくよう学生を指導していたのですが、実習でそこまで鍛えることは難しいと痛感しています。ジャニーズ事務所での「現場での学び」をLegitimate peripheral participation*1という学習理論で説明できると思うのですが、いつか分析してみたいと思っています。

もうひとつ、気遣いで嬉しかったことがありました。和歌山の少年たちLIVEで昼の部の様子から夜の部は北斗さんが私の前を通ってくださるのでは、と期待していたのですが、あえなく北斗さんは舞台上手袖に消え。?と思った瞬間北斗さんが2階席に現れたことに嬉しくなりました。全く残念でなかったわけではありませんが、それより遠隔地での昼夜公演続きで疲れているだろうに、2階のファンのために駆け上がってくれる方のファンでよかったとしみじみ思いました。幕が開いた当初から2階席に目をやっていらっしゃる様子だったので気になっていらしたのだと思いますが「お前ら絶対裏切らないから」ってこのことなのだと得心しました。

 

SixTONESには少年倶楽部での「The D-MOTION」のステージングに惹かれ、興味をもちました。初見で斬新さに興奮して何回も見直し、少年倶楽部の録画を2年分遡ってSixTONESの映像を見直してしまったくらいです。「この星のHIKARI」は楽曲が素敵で歌声も美しいうえに全員が力いっぱい楽しそうなのが魅力的で、SixTONESをもっと観ていきたいと思わされました。                                     お膳立てされたセットの中で上手に踊り、歌い、ファンにアピールして、は当然として、舞台装置や小道具、ライティングやストーリーを以て「自分達はこう見せたい」というステージングへの注力がジュニアのみならずCDデビュー組を含めても出色だと思います。と、これまでそう思っていたのですが、先日TV誌で振付師さんの意向が大きいと知り驚きました。それだけ振付師の創作意欲を刺激し、その世界観を体現することができると思われているのですね。

同誌記事でAmazing!!!!!!の衣装の二の腕のバンドはご自分の発案と知りましたが、魅力をよくご存じだと思います。”あの二の腕”は私も大好きで、初対面の同好の士とも意気投合して盛り上がれる衣装です。

 

SixTONESは楽曲からKAT-TUNKis-My-Ft2と比較されることが多いと思うのですが、私は2000年代前半の嵐に共通する雰囲気を感じます。当時の嵐はジュリー藤島氏のインタビューでも「インディーズ」と位置付けられ、それ程仲良し組でもなく世界と闘うための”味方”5人、といった風情を醸していました。ファンもサブカルや他ジャンル愛好者で、一人Blue Noteする20代だった私もそうですが、典型的ジャニーズファンではない人が多く「誰が認めなくても自分はこれが好き」と思っていた人が多かったように記憶しています。

私は2002-2003の「新嵐」ツアーの構成に魅入られて全公演通い詰めてしまったのですが、まだソロ曲も他のアーティストの借り物だったり、MCで松本君が「グッズがもっと売れ客席も埋まったら、例えば1回10万円也の炎の特効をもっと使えるのに」と語ったくらい恐らく資金も潤沢ではなく、その中で攻めた楽曲アレンジと尖ったステージングのショウを見せてもらいました。2006年頃まではファンも同じ顔触れが全国を回っていたと思いますが、阿吽の呼吸で初披露曲なのに誰からともなく客席も振りを揃えていたり、ファンとの幸せな意思疎通がありました。

今年のKING'S TREASUREはSixTONES単独公演2回とSnowmanとの合同公演1回とに入ることができたのですが、SixTONESファンの在り方も当時の嵐ファンと似ているように思います。ただ、若き日の先輩グループ達に比べて、SixTONESの”しゃべり”は既に手練れで、EXでのSixTONES単独公演ではMCで笑いすぎて顎が痛くなってしまいました。また、関東限定内弁慶アイドルだった当時の嵐と異なり、SixTONESは一見「前へ、前へ」とがつがつしているようですが、過剰になる一歩手前の含羞の色が絶妙だと思います。(略)

仕事や日常の些事をこなして生きていく中で、スポーツや家族と同様、ジャニーズの皆さんの活動は私の力になってくれています。いくつになっても足を運び、心躍るようなパフォーマンスを見て聴いて参加できることを心から楽しみにしています。

時節柄、北斗さん、SixTONESの皆様にはくれぐれもご自愛くださいませ。

                                  かしこ

2017年10月29日

                                        

*1:Lave & Wenger 1991