書簡・編

おたくもすなる日記といふものを、我もしてみむとて、するなり。

027: 2019年9月23日_少年たち To Be!

一筆申し上げます

 暑さ寒さもここまでの、彼岸に入れば舞台も残り1週間。早いですね。出演者の皆様、スタッフの方々は、初週末の台風の被害にはあわれなかったでしょうか。Show must go onが社是とはいえ中止となった公演もある今秋ですが、5年間の少年たちの大千秋楽まで恙なく舞台を務めていただけるようお祈りしております。

私は9日夜公演を2階最後列上手から、急遽来られなくなった友人の知人の代わりに18日夜公演を前方下手から観劇することができました。

 

初見では、前2作と映画しか存じ上げない私も、様変わりに驚きました。獄中での対立や戦争といった「役柄上の葛藤」メッセージが表現されていたこれまでと異なり、個々の演者自身の来歴や想いが基盤になっているだけに簡単には感想を述べられないような、2度目の観劇でようやく咀嚼できる部分もありました。
今年の少年たちはこれまでの「その後」まさに「卒業製作」という感で、初めて見る方の解釈を知りたかったのですが、18日の幕間でお話しした少年たちの舞台は初めてという隣の席の方は、映画を2回見たので人間関係や背景は理解したけれど、まさかコメディとは、と(笑)。”50年後”の部分をとりあげると「東西SHOW合戦風味」と言う方がいるのもわかります。相対するのが関西勢ではなくおっとりしたSnow Manなので、よりほんわりした雰囲気ではありますが。以前のお手紙に「子供の未来、戦争といったメッセージ性の強い舞台も好きですが、笑いに満ちたSHOW合戦もまた見たい」と書きましたが、少年たちでそうきたか!と(笑)。
2階の天井席でも隣のお嬢さんが数十秒ごとに笑い声をあげそうになってはのみこんでいて、笑いの反射神経が鈍いのか、間をおいてくすくす笑う程度の私には羨ましくて、もっと声をあげて大笑いしてくださって大丈夫ですよって幕間に声をかけてしまいました。
このコメディ部分もお風呂の後に改めて老体の重さを実感するくだり、ジャニーさんの「大人は子供に戻れない」身軽な立場から巣立ちたいのか、大人になることとはしがらみを贅肉のように着込んでがんじがらめになるという側面もあるのだぞ、というJr.からデビューするかわいい子供達への想いが元になっているのかと想像するのは穿った見方過ぎでしょうか。何を失ったの?何に気づいたの?との問いかけがそれを裏付けているように思ったのです。まあ、いずれにせよ、人は方向が正しいのかなどわからないままに進むことしかできないわけですが。

 

実をいうと初見では「人数が多いのに全員のモノローグがあるので立ちっ放しの時間が長い」と思ったのですが、2度目の観劇ではその印象はなく、囚われの身から解放されたはずなのに新たに苛まれる焦燥や苦悶が伝わってきました。台本が演者の皆さんの心情の吐露なので、現実の皆さんを重ねて「デビューは解放ではなく更なる厳しい世界の始まり」との暗喩なのかと考えてしまうのですが、それは今回の脚本の意図を汲めている解釈なのでしょうか。そのような内容のためか、デビューが現実のものになった立場がそうさせたのか、今回の少年たちでは皆さんの”面構え”が変わったように見てとれました。

”To be”と”To do"がテーマで、最終的に「正解はみつからないが、間違いはない」と各人に一任されるのが答えなのであれば、戦争、若者の軋轢、出自の悲劇、よりも、現実の私達には普遍的かつ重いテーマですよね。舞台やライヴ会場という閉じた空間で限られたファンと相対するだけでなく、双方向交流ができないマスメディアにのり不特定多数を対象とするようになると「何をするか」のみならず「どう生きているのか」という、取り繕えないその人の根幹が時に滲み出てしまい、それが称賛や批判の誘因となるのだというジャニーさんや滝沢社長の「教え」なのかと。今回の少年たちの期間に自分の在り方を自問しないといけないようなトラブルに見舞われてしまい。私にも身につまされるものがありました。

 

今回の観劇では初めて日生劇場の”てっぺん”を経験しました。前の方ではわからない照明の使われ方や、舞台の奥行きがわかりましたし、群舞はむしろ前の方よりよく見えます。また余得で憧れの天上を触れそうな近さで鑑賞できました。遠目にはジンベエザメのように見えますが、青い石膏にアコヤ貝装飾が施してあって、素敵なのです。モザイクタイル美術館の展示がお好きでしたら、客席の優美な曲面のガラスタイル壁や天井など内装もご覧になってみてください。

そういう劇場の楽しみ方もあるくらい、人によって舞台の楽しみ方はいろいろで、ファンとして演者の人間関係(よくいう”尊い”とか”エモい”部分)を楽しみにしている方達も多いと思うのですが、私はどちらかといえば歌やダンス、役柄をどう演じてくださるか、を堪能したい方です。毎年一度は拝見する、既に評価の定まったEndless SHOCKですら、演者同士の人間関係を把握している人達や何回も観る人が理解できるちょっとした”遊び”や弄りを時に煩わしく思うこともあります。今回の少年たちは演者の個人的背景が基盤になっている卒業制作的側面が強調されているので、評価しづらく思った方もいらしたかもしれません。

SixTONESの皆さんは厳しく需要を見極めて調整することに長けていて、評価を気にする方達だと思いますが、平均的に万人が好むものより、自分達がこれと思う物をスタッフの方達と作り出していって、強烈な支持もえるけれど、そこそこいるアンチも上等、くらいの方が面白いかなと思っています。また、修正を要するときの御社の社是の臨機応変さも私の好きなところなので、作っては変えていく様を見ていかれれば嬉しいなと思います。異端が王道になっていく過程って、自分の選択眼の答え合わせのようで楽しいものなのです。SixTONESには既に、王道とかそういったものを超えた迫力はありますが(笑)

ショウタイムの新曲の衣装*1はまさに破天荒な迫力で、あれだけ各人各様、その人のまとう柄も、とっ散らかっているようで調和が取れているのには脱帽です。曲もらじらーで言っていらしたようにジャニーズには珍しい。多くのアーティストのもつ、”達郎節”、”嵐っぽい”、”NEWS調”、”KAT-TUN風味”といった傾向がSixTONESにはなくて、常に新しい違う味付けを貪欲に試してているのに、一定の水準以上でどうだ、といわんばかりに出してこられるので嬉しい限りです。

もちろん、みんな大好き定番スーツでキレキレに踊るⅥ Guysが、本家マンズ兄さんとひと味違うにに、敬意を表してかダンスが大変なのか(笑)、いつもの世界観ありきのパフォーマンスとは異なる忠実さで「踊って歌って」いるように見えたのも興味深かったです。

以前Ⅵ GuysをSixTONESが、JAPONICA STYLEをSnow Manがもらっていたかもしれなかったと読んだ記憶があって、間違いなく転機の1つとなったJAPONICA STYLEがSixTONEの曲でなかったらば運命は違っていたのか、それとも運命はその人達に従属するもので、Ⅵ Guysをもらっていても同じ道が待っていたのか、そんな詮ないことを考えつつ、最後のWe'll be Togetherに、やっぱり素敵な舞台だったなとしみじみしながら劇場を後にしました。”別れたその時より素晴らしい場面”を心待ちにできることに感謝しています。

9日は台風による停電で信号も点かず大渋滞。軒並み電車も運休の中、わが京葉線だけが粛々と動いていてくれたために無事観劇することができ、去年の少年たちに京葉線の火災で開演2分前駆け込みしたこともあって京葉線に貸しを返してもらった気分です。観劇が叶わなかった方もいた中で、最初は諦めかけていたSixTONES最後の少年たちを、友人達も自分も観ることができてよかったです。

映画少年たちのBlu-ray発売のお知らせもいただき、昨年のYTFFとクロスロードに続く誕生日プレゼント(ふふふ、発売日がちょうど誕生日なのです)だと勝手に思っております。舞台の映像も求める声が大きいと思いますが、5作品収録+噂の阿部ちゃん先生編集NG集を特典映像で、とお祈りしています。

 

そして、秋のツアーもすぐですね。自分の受験でも神頼みはしなかった*2くせに、時々立ちよる神社で「北斗さんがよいお仕事に恵まれますように」と珍しく具体的な願いごとを、ついしてしまったのが昨年5月。その後なんとなく毎月参拝しては、そこに小さく「可能ならそれを近くで見守れますよう」と浅ましく付け加えてしまっていたのですが、ジャの道の神様と八百万の神のご加護か、お友達とも分け合って何公演か行かれることになりました。皆さんが口々におっしゃる"忙しかった夏"の成果を楽しみにしております。私達の目に触れる露出の少なかった期間も、”見ればただなんの苦もなき水鳥の足に暇なき”だったのですよね。

北斗さんの新しいお仕事のお知らせも心躍らせて拝見しました。過ごしやすい季節のこととはいえ、ツアーとの両立はご苦労かと思いますが、お身体にはお気をつけてお過ごしください。新たな季節を迎えて気温が変わっても*3、一層北斗さんとSixTONESに期待しています。                                    

                                  かしこ

2019年9月23日

 

*1:2022年7月注:RAM-PAM-PAM

*2:神頼みしないと受からない学校に入っても、ついていけずいいことないと思っていたのか(笑)、ほんやりと心穏やかに暮らせますように、などと頭の隅で思う程度だったのです。でも、努力は最低限必須の条件で、努力だけではどうにもならないこともある、タイミングや縁や運も必要な分野なら神頼みも意味があるかと思ったのですよね。よいお仕事にこれからも巡り会っていかれますように、妙見様(北斗七星)を祀る神社なんですよ

*3:2022年7月注:少年たち ~ Born TOMORROW 「あべちゃんの天気予報」松村北斗回 2017年9月10日『気温の変化、あなたの心お変わりないでしょうか。』2017年9月24日『夏の遠のき、秋の訪れ 新たな季節に、私は居ますか。』より